『バナナフィッシュ』がフィクションではなかった80年代の英国

あと三週間。
五月七日の木曜日、英国では五年振りの総選挙が行われます。
英国では、選挙はいつも木曜日。
他のヨーロッパ諸国では結構日曜日に選挙をしているというのに。
日曜日は、やっぱり安息日というわけでしょうか。
英国のイングランドでは、イングランド国教会という『国が定めた宗教』が存在して、そのおかげか多くの国民はいまでもイングランド国教会なので(生まれた時、そして亡くなる時くらいしかお世話にならないけど)、宗教的にはそこそこおおらかな人達。
でも、イングランド国教会の大主教であるカンタベリー大主教は、政治的な『発言』も公でなされてます。
こういうところが、宗教に関しては『自由なようで』『意外と縛られている』英国の体質、ですね。


そういうわけで、ニュースは連日連夜、選挙関係が大きく取り上げられています。
こんなこと言うと不謹慎なのは重々承知ですが、おかげで最近は少しニュースを観ることが楽です。
ここ最近、毎日のようにアイシル(イスラム国)関係のニュースと、未成年に対する性的搾取と暴力のニュースばかり。
今でもそういったニュースは入ってきますが、取り上げられ方が総選挙のおかげで小さくなっています。
こういったハードなニュースに比べると、総選挙のニュースはまだ柔らかさがあります。


未成年に対する性暴力、ペドフェリアのニュースは、英国だろうが日本だろうが、本当に闇が深い。
日本では、子供に関してのみペドフェリアという名称を使っているようですが、英国では未成年(16歳未満)への性犯罪行為をひっくるめてペドフェリアといいます。
幾人かの有名人の過去の犯罪が暴かれ続け、地方都市で未成年の少女達が大人達(ギャングみたいなもの)に騙されて暴行されるケースが後を絶たず(警察など、少女達から被害届があっても動いてくれないことも)、更に80年代に社会的に高い地位のある政治家などが少年達を暴行した事件が徐々に明るみになっています。


特にこの政治家による暴行事件は、犯行を行った者がかなりの地位と政治的/社会的影響があるためか、その事実関係の調査に手間取ってます。
その時の被害者であった少年達は、40代になっています。
生きていれば。
この政治家達による少年暴行事件では、性暴行だけではなく、実は殺人も含まれている、という話です。
この事件を公にして、犯罪者が裁かれる日は、本当にやってくるのでしょうか。
皆が知っているような有名な政治家も加害者に含まれている、ということです。


最初このニュースを初めて聞いたときは、信じられない、そして信じたくない思いでした。
瞬時に私の頭に浮かんだのは、荒廃した地下室を描かせたら少女マンガ界ナンバーワンの吉田秋生さんによる、80年代の冷戦時代の背景のアメリカが舞台の『バナナフィッシュ』というなんとも切ないストーリー。
主人公のアメリカ人の少年、アッシュは少年売春を強要されたストリートキッズだった、という設定。
アッシュのように不遇の少年達を買いにくるのは、政治家などの地位のある実力者。
でも、この話は単なるフィクションだと思って読んでいました。
そんな話が、現実として、80年代のロンドンの高級マンションなどで、起こっていたとは。

ばなな


勇気をもってテレビのインタヴューに応じていた被害者の一人の男性は、ピカデリーサーカスで迎えの車を待っていたことがあった、と言っていました。
そんな賑やかな繁華街で、観光客や買い物を楽しんでいる人々に紛れて、そんな少年がそこにいたとは。



総選挙のあと、政権を握った政党には、この重大な事件の解明と関係者への制裁を、良心をもって誠心誠意尽くしていただきたい。
切に、願います。


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コメント

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No title

性犯罪のニューズを聞くと、ふざけるな!と心がくるしくなります。犯罪者に対しての罰も軽い軽すぎる。被害者は、人格も人生(心)も死だとおもいます。。

なぜ、犯罪者がのうのうと生きていける程度の刑罰なのか?
もっと社会全体で取り組むべき闇の問題です。

そんな事件がこの世からなくなればいいのに。

ドラゴさん

英国もこの手の犯罪はひどいものです。
時効ってものが存在しないので、昔虐待された人達が勇気をもって告発してくるのはよいことだと思います。
多分、家族や社会的理由、仕事のことを慮って警察に話せない、或はコンタクトはとっても刑事事件には関われない方もいるのではないのでしょうか。
実際、被害者の数はもっと多いのでは?

No title

このところやっとで、申し訳ありません
合意でない性愛は、卑劣ですね。
綱紀粛正あるのみですね。

hippoponさん

とりあえず、英国でも日本と同じような(いや、実際もっとひどい)犯罪があることを書いておきたくて。
どうにかして、新政権さん。