愛猫ぷうのいないロンドンなんて、つまらない。

ピンクフロイド、壁

ちょっと前の話。

ロンドンの名物ブラックキャブこと黒タクシーを利用する機会があった。勿論、ビンボーなのでこのタクシーは私用のためではないが。

ブラックキャブの運転手さんというのは、どういうわけか、白人系イギリス人が多く殆ど中年男性。乗り込んだキャブのうんちゃんも、当然のごとく50代くらいの典型的なワーキングクラス出身らしい、お腹がぽこっとでている白人系イギリス人。

ところが、今回はひととだけ、いつもと違っていた。音楽がかかっていた。しかも、あの70年代を代表とするロックバンド、ピンクフロイドの名曲ウォールではないか!!!


ピンクフロイド、ウォール





な、なんて事!

何度となくキャブは使ってきた。でも、大抵ラジオがかかっているか、BGMなしでの営業。バリバリのロックミュージック聴きながらお客さんを乗せている運転手さんははじめてだ。しかもよく聴くと、The Wallのアルバムかけっぱなしという素晴らしさ。英国はかつてそのポップとロックな音楽を世界に発信してきた。新鮮な音、奇抜なコンセプト、斬新なアレンジ。政治的なメッセージや社会の問題を露呈してきた。ピンクフロイドはそのなかでも文学や哲学的な歌詞を書いてきた。

ロンドンの街中を、ピンクフロイドをかけているタクシーに乗っている、なんて贅沢なんだろう。


70年代は、暗黒時代、といっても過言ではない。炭坑労働者が大規模なストライキを起こした。あちこちでいろんな労働者達がストライキをおこし、それによって停電さえもおこった。看護婦さえもストに参加した。多くの炭坑や工場は、経営の危機にあり、閉鎖をせまられるものもあった。自暴自棄になった労働者達は、団結し、警察と衝突した。ストライキやデモはしばしば暴動と化した。警察はそれを鎮圧するため機動隊さえ招集した。



斜陽の英国。ピンクフロイドはそんな社会的な混乱のなかで活躍したバンドだ。




が、現実問題として、こんな音楽聴きながら運転していいのだろーか。
ちょっと、音楽的にはサイケデリック過ぎるし、歌詞は哲学的すぎる。ふと、運転中になにかのはずみで、おも〜いことを考えてしまったらどうなるのか。ウォールの歌詞は人によっていろいろな捉え方があると思うけど、核となるのは社会制度や政治への不信感だろう。こんなこと思い詰めていったら、自己破壊にさえつながる。

サイケデリックな音楽、特にデヴィッド・ギルモアのギターに酔い痺れているうちに、なんとか無事にタクシーは目的地まで着いた。



ロンドンに長いこと居すぎて、イギリス人のみならず、いろいろな文化の移民系の人々からさえ人種差別的発言をされまくり、精神がずたずたぼろぼろになることもある。そんななかで、すっかり忘れていたことがある。

ロックは共通語で、そこには普遍性があるだけだ。人間の悩みや苦しみや怒りは、共通なんだから。あたりまえのことを再確認。




タクシーから降りるときに、ピンクフロイドのことを聞いてみる。お、わかったかい、好きなのかな、と、うんちゃんは凄くいい笑顔をみせてくる。フットボールフーリガンとして球技場で暴れてても不思議ではないほど、いかつい外見をしたうんちゃんは、とても魅力的なおっさんだった。


うんちゃん、ありがとう。



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愛猫ぷう、17歳の2016年7月、英国のEU離脱の衝撃が冷めないときに旅に出てしまいました。ぷうのいないロンドンで、なんとか適当にぐーたらに生きていけるように、ちょっとはがんばらなくちゃなぁ。

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